つい昨日、築地市場の移転で1号店が惜しまれつつ閉店した吉野家。
そしてその吉野家グループが大幅赤字に陥った。
また今後セルフ式を導入していく
というニュース。
ここ数日に立て続けにあった吉野家をとりまくニュース。
いろいろな時代背景や低価格チェーンの課題が凝縮されているような気がする。
最近騒がれている吉野家をまとめてみた。
吉野家のはじまり
吉野家の誕生は1899年。料亭で働いていた創業者・松田栄吉が、当時はしりだった「牛めし」に目をつけ、日本橋にあった魚市場に店を構えた。魚河岸で働く職人たちに腹いっぱい食べてもらうため、当時高価であった牛肉とごはんを「有田焼の丼」で提供したのが始まりという。
その後、関東大震災(1923年)による魚市場の築地移転に伴い、吉野家も移転。東京大空襲(1945年)で店舗を焼失するも、戦後すぐに屋台で商売を始め、1947年に築地市場で店舗を再開する。これが、現在の吉野家「築地1号店」。
だから築地であんなにニュースになったんだ。と意外と築地が発祥というのをこのニュースで知ったという人も多そう。
8年ぶりの赤字
吉野家ホールディングスは、ことし8月までの中間決算を5日発表し、コメなどの原材料費の高騰や人手不足に伴う人件費の増加で8億5000万円の最終赤字になった。中間決算での最終赤字は6年ぶり。
6年ぶりの通期最終赤字に転落する吉野家HD。
牛丼業界の価格競争が主因だった前回の赤字に対し、今回は「原材料高」「人件費高騰」「コンビニ弁当など中食との競争激化」「消費者の低価格志向」という4重苦が重荷になりました。https://t.co/Gms9be07Yi— 産経ニュース (@Sankei_news) 2018年10月5日
赤字の理由は、原材料と人件費の高騰、競争激化にあわせた(消費者の)低価格志向、としているがそれ以外にも理由があった。
赤字の理由
グループ内他業態での既存店売上不調とコスト高騰
吉野家HDは、牛丼の「吉野家」を傘下に持つ持株会社。傘下には「吉野家」のほか、鮨のテイクアウト及び回転寿司を展開する「京樽」、うどんの「はなまるうどん」、ステーキ及びしゃぶしゃぶレストランの「アークミール(旧社名:どん)」などがある。
「はなまるうどん」は既存店売上高の不調と物流コストの増加。「アークミール」では競争激化による既存店売上高の不調と店舗数が減少となった。
グループ内の他業態の既存店売上減とコスト。さらに追い打ちをかけて苦しい状況だった。
そして原材料高騰
コスト増を受け外食各社では値上げが相次いでる。鳥貴族は2017年10月に1品280円均一から298円に値上げ。すき家も2017年11月、松屋も2018年4月にそれぞれ原材料価格や人件費の上昇を理由に値上げに踏み切っている。
そんななか吉野家は値上げに踏み込めていない。
値上げによる客離れがトラウマ?
過去、北米産牛肉のショートプレートの高騰を理由に、牛丼並盛の価格を税込み300円から同380円へと引き上げた。すると客数が15%ほど落ち込み、回復に長い時間を要した。
過去に値上げをしたときは見るからにお客さんがいなかった。それから復帰したがそのトラウマが値上げに踏み切れないのだろうか。
外食の人手不足|店舗の4割をセルフ式に
吉野家 店舗の4割をセルフ方式に #nhk_news https://t.co/wDINMZewUC
— NHKニュース (@nhk_news) 2018年10月5日
吉野家の店舗の4割に当たるおよそ500店について来年から5年かけて、客がレジで注文をして自分で料理を運ぶセルフサービス方式の店舗に切り替える方針を明らかにした。
これから少子高齢化。人手不足はさけられない。一定のサービスを提供し続けるためには人手不足も解消していかなければならない。
現代の企業がかかえる問題を浮き彫りにした今回のニュース
まずは物価高騰から値上げに踏み切ったことによる客離れ。
「鳥貴族」も値上げに踏み切ってから客数が落ち込んでいる。またラーメンでいえば「幸楽苑」も値上げ後の業績不振により52店舗の閉鎖にまで追い込まれている。
業界は異なるがユニクロも過去に値上げをして客離れが起き、その後値下げをしている。
いずれも低価格を売りにしている企業に起きた、値上げが客数減を引き起こすことが目に見えてわかった出来事。
次に客商売で頭を悩ませているのが「人手不足」
人手不足により、人件費が高騰、さらにサービスの質が落ちて客数減。人手不足が起こす負のスパイラルにハマったら抜け出せない。
今回はその問題を浮き彫りにした。
さいごに
牛丼大好き。牛丼といえばやっぱり吉野家。定期的にはお世話になってます。
最近コンビニの牛丼もうまい。結構クオリティが上がってきてるしコスパもいいし持ち帰りもスッと出来ちゃうからなんかついつい買っちゃう。
吉野家利用をこれから頻度を少し上げて応援していきたいと思うけど競争もますます激化していくと思う。
値上げに対する対策は急務だろう。もちろん簡単ではないけど。
でも商品、サービスは見合った価格なら多少高くなっても受け入れられる。
その価格に応じたクオリティを上げるとか、もっと工夫する必要があるだろう。
人手不足は吉野家のようにセルフにしていく店舗も増えてきている。
(そもそも日本の接客って過剰とも思うけど)
見合ったサービスと質があればお金は払ってもらえるし、いままでこうだったから、ということを一旦捨てて考えてみるいい機会かもしれない。